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2008年10月21日 (火)

デッチング・トレーナー

こないだ海上自衛隊鹿屋航空基地へ行った際、日本で一つしかないというものを見学することができました。

「デッチング・トレーナー」

という装置です。

「デッチング」とは、ヘリコプター等の航空機が何らかのトラブル等により不時着水することを意味する専門用語です。
「トレーナー」とは訓練装置のことなので、直訳すると「不時着水訓練装置」となるんですが、要は「ヘリコプター着水脱出訓練装置」です。

ここ鹿屋基地には、「SH-60J」というヘリコプターを模擬した訓練施設を持っていて、この手の訓練施設を持っているのは日本広しと言えども、この鹿屋基地のみなのです。

訓練場の入口を入ると、まず目に飛び込んできたのはプールとその上に構えている大層な装置。

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なるほど、プールの上5メートルくらいのところに据え付けられているのはローターこそないけれど、ヘリコプターの機体のようです。
「日本飛行機株式会社」の看板がやけに目立ちます。
また窓ガラスはついていないけれど、この中には計器類も含めて実際のヘリのコックピットを模擬しているみたい。
聞くところによると模擬している機体はSH-60Jなので、4人分のシートがあり最大4人までの同時脱出訓練ができるのだそうです。

今回は実際に脱出訓練のデモまでしてくれました。

通常は訓練準備として、身体検査や準備運動、そして水に慣れるためのプール1往復等のいくつかの項目をこなしてから訓練開始となるのだそうですが、今回はここの隊員さんのデモということでその辺は省略、というか事前に済ませてあったんだと思います。

1名のパイロットがトレーナーに乗り込むと大きな機械音とともに下降を始めました。

そして間もなく着水。
バシャーンという大きな音とともに、水しぶきが上がります。

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その後、機体は回転しながら水没していきます。
通常ならパイロットはこのあたりからパニック状態に陥るんでしょうね。
見ているだけでも怖いです。

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そして水中で180度回転
いわゆるお腹を上に向けた状態で静止しました。
ヘリコプターというものは、その構造上機体の上にローターやそれを回すモーターが付いているため、実際でもこのように水中で180度回転することが多いんだそうです。

ここからパイロットは脱出を開始します。
なお、もしもの場合のため常にダイバーが水中待機しています。
今回は1名での訓練なのでダイバーも1名だったんですが、4名の訓練の場合はダイバーも4人、つまりマンツーマンで救助員がつくのだそうです。

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パイロットが無事に脱出し、プールの隅にある救命ボートに自力で乗り込み、最後に右手を上げ無事であることを伝えたところで訓練は終了となります。

見ていてすごい迫力がありました。
っていうか、僕だったら確実に死ぬな。
っていうか、絶対やりたくないし...

訓練を終えたマシンが、プールから出て元の位置にもどるとき、中に溜まっていた水を吐き出しながら上昇するシーンも、この訓練の大変さを物語っているようでした。

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ところで、この装置はいろいろなケースでのシミュレーションができるそうです。
降下、沈下、回転、前傾といった動作を手動で行える他、自動モードでは8つのパターンの動作を選択して行うことができるのだそうです。

その8つのモードとは、

  • モード1 : 降下着水して、停止
           (水没はしません)
  • モード2 : 降下着水して、左または右へ最大180度横転
           (これも水没はなし)
  • モード3 : 降下着水後、完全水没まで沈下
           (回転はしません)
  • モード4 : 降下着水、完全水没後左または右へ最大180度横転
  • モード5 : 降下着水後、沈下しながら左または右へ最大180度横転
  • モード6 : 最大40度前傾した後、降下着水し完全水没まで沈下
  • モード7 : 降下着水、完全水没後最大40度前傾
  • モード8 : 降下着水、完全水没および前傾した後、左または右へ横転

モードが上がるにつれ過酷な条件になっていくようです。
モード8なんか、体操でいうとD難度てんこもりみたいな状態なんでしょうね、きっと。

今回実施したくれたデモは、僕が見ていた限りではモード5だったようでした。

何度も言いますが、この装置は日本ではここ鹿屋にしかありません。
なので、全国のヘリパイ(ヘリコプターのパイロットのことね)がここにやって来て訓練を受けるのだそうです。
それは海上自衛隊のみならず、陸上自衛隊、航空自衛隊、さらには海上保安庁や警察、消防といったヘリコプターを所有しているいろんな機関のパイロットたちがここへ来て訓練を受けるのだそうです。

そして今年7月7日、開設以来10年目でついに1万人を達成したそうです。
その記念すべき訓練員は、海上保安庁の隊員さんだったとかで、記念写真が飾ってありました。

参考ニュース : http://373news.com/modules/pickup/area.php?areaid=26&storyid=11578

トラブルを想定した訓練というのはあまり前向きな訓練ではないため、なかなかやる機会はないと思います。
でも、こういう訓練があってこそ、パイロットはいざという時にも冷静に判断し、行動できるようになるのでしょうね。

いや、すばらしいものを見学させて頂き、ほんと感激でした。
今回見せて頂いた海上自衛隊鹿屋基地の関係者の皆様、本当にありがとうございました。

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コメント

チンムーさま

突然のメール失礼します。
また、突然ぶしつけなお願いなのですが、
デッチング・トレーナーの写真をレポートに使用させていただきたく、ご許可または写真をお譲り戴くことはできますでしょうか?どうぞ宜しくお願い致します。

投稿: とおりすがり | 2009年5月27日 (水) 10時16分

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