陸上自衛隊第15旅団総隊5周年記念行事より
久々の陸上自衛隊記念行事レポートをお届けします。
2014年10月19日の日曜日、陸上自衛隊第15旅団総隊5周年及び那覇駐屯地創立42周年記念行事に行ってきました。
式典は晴天の下で行われました。
先週と先々週は大型台風が直撃していたのでちょっと心配でしたが、今週はうって変わって良い天気。
天気予報によるとこの日の最高気温は28度という、沖縄ならではの暑い天気。
でも風があったせいか、そこまで暑いという感覚ではなかったかも。
ところで第15旅団は5周年ということでまだまだできて間もない組織です。
ちなみにそれまでは第1混成団という名称でした。
かつて陸上自衛隊は最大18万人という規模で構成されていました。
全国を5つの方面隊に区分し、さらに作戦基本部隊として13個の師団と2個の混成団によって構成されていました。
しかし、冷戦が終結し、2001年に起きた9.11テロを境に自衛隊の在り方が急速に見直され、かつ日本経済の低迷のあおりを受け陸上自衛隊は定数削減と作戦基本部隊の見直しを余儀なくされます。
現在、陸上自衛隊は約15万人という規模にまで減少しているのです。
ところで、平成16年12月に新たな防衛計画の大綱(通称「17大綱」)が閣議決定されました。
ここで初めて沖縄に所属する第1混成団は第15旅団へ改編されるということが明記されました。
陸上自衛隊の組織において混成団から旅団へ改編されるというのは、作戦基本部隊の単位としては大きくなるということを意味します。
実際隊員数も1800名体制から2100名体制へと増強されたのです。
全体の人数が削減される中で沖縄に配備される部隊だけが増員されたのです。
この背景には我が国の脅威が北方から南西諸島方面にシフトしていることが大きな要因としてあげられます。
さらに昨年12月に出された新たな防衛計画の大綱(通称「25大綱」)では、さらに南西方面の部隊を増強し、先島諸島にも部隊を展開することが記述されています。
さて、うんちくを語るのはこれくらいにして、今年の式典の内容を紹介して行きましょう。
行事の流れは、基本的には例年と変わりません。
記念式典、観閲行進、音楽演奏、訓練展示という流れで実施されました。
その中で僕が気になったトピックだけを拾ってお伝えします。
まずは式典で行われた来賓祝辞。
なんと、中井真県知事が出てきました。
県知事ってかつて自衛隊の行事に出てきたことあったっけ?
今朝のニュースで、知事選を控えているからか普天間問題をきちんと片づけるみたいなことを言っていたけど、祝辞では当たり障りない内容でした。
続いては観閲行進。
通常、観閲行進のトップバッターは音楽隊なんですが、今回の15旅団の場合他の部隊とはちょっと違う点があったんです。
僕が今まで見てきた観閲行進では、音楽隊の行進で使われる音楽は、ほぼ全てにおいて「大空」という曲が使われていました。
ところが、今回見た音楽隊の行進曲は、何と「抜刀隊(別名「陸軍分列行進曲)」だったんです。
僕が知る限り、音楽隊がこの曲で行進するのを見たのは2011年の第10師団の記念行事に続き2回目でした。
あっ、すみません、かなりマニアックなことを言ってるように聞こえるかもしれませんが、これ分かる人には分かってもらえると思います。
曲の説明を始めるとかなり長くなってしまいますので割愛しますが、気になる方はYOU TUBEで検索してみてください。
続いては、観閲行進の後に行われたエキシビション。
音楽隊とオートバイ部隊(偵察隊)とのコラボレーション。
音楽に併せて8台のバイクがいろんな動きでデモンストレーションを行うというもの。
連続ジャンプも見事でした。
しかも、実は音楽隊とオートバイだけでなく、
さらにラッパ隊とのコラボレーションというかなり難易度の高い展示だったんです。
この後の祝賀会食の席で第15偵察隊長に話を伺ったんですが、この日のために約3ヶ月の準備をしてきたとのこと。
全体構成は音楽隊が考え、3ヶ月の間に微修正を重ねて本番に臨んだんだとか。
このコラボレーションはこれまで見たことのない素晴らしい展示でした。
最後の見所は訓練展示。
他の師団や旅団と違って、15旅団には戦車部隊と特科部隊がありません。
それはどういうことかというと、大きな音を出す空砲を撃てないので他と比べてやや迫力に欠けるということ。
それを展示の内容(演出)で補うのが15旅団の訓練展示なんです。
で、その演出とは、
建物の屋上にレンジャー部隊がヘリから降下し、
建物の窓をぶち破って侵入するというもの。
建物の中には敵が潜んでいるという設定で、そこへ窓ガラスを蹴り破って侵入するのはリアル感満載でとても迫力がありました。
いやぁ、とても見応えのある記念行事でした。
最後はいつものごとく、体育館で祝賀会食で締めくくり。
15旅団の隊員さんたちのおもてなしも素晴らしかったです。
沖縄における陸上自衛隊の認知度も理解度も格段に上がっているとのこと。
南西方面の緊張度が増す中、沖縄県民の安心・安全を守ってくれる陸上自衛隊第15旅団のますますの活躍に期待しつつ、沖縄の地を後にしたのでした。
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